こんなのでいいのか?といつも思う。
努力して甲子園を目指した双子の弟は志半ばで、子どもを救うために交通事故で死んでしまい、何もしないで(?)ぶらぶらしていただけの兄はあっさり甲子園に出て、しかも優勝する。おまけに幼なじみの女の子は彼のものに・・・人生をなめてんのか!という展開である。
 だいたい、あだち充の描く漫画の主人公はスポーツをやっていることが多い。野球、水泳、ボクシング・・・主人公はそれほど苦労しなくても(例えば「メジャー」の吾郎くんなんかすごい張り切りようだ)もって生まれた才能を開花することができる。仮に努力していたとしても、その姿が描かれることがない。
 「巨人の星」「明日のジョー」などのスポーツものにありがちな、奇抜な練習法や肉体を痛めつけるドラマチックな筋立てもない。出てくる大人も妙に理解がある。主人公は淡々とあるいは飄々と困難を乗り切ってしまう(ように見える)。 あだち充の漫画そのもののように・・・
 あだち充の漫画はものすごく丁寧で、手抜きがない。でも、どこかあっさりしている。なまなましさがない。
 中学・高校と運動部で、運動着を汚し、半径5メートル以内には近づきたくないと思えるほど汗臭くなっていた同級生を、どんな目で見つめていたのだろうか?

 達也が甲子園に行くことになったその年、あだち充の母校の前橋商業が56年ぶりだかで甲子園に出場することになり、そのことが「タッチ」の中にさりげなく挿入されていたのには笑った。
タッチ    あだち充
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